患者の呼吸維持・促進をはかりながら、睡眠を得られるように働きかける

呼吸器科病棟の多くの患者は、呼吸を阻害されることで身体的苦痛は勿論、生命に直結する臓器に疾患を抱えていることから、死への不安や恐怖といった精神的な苦痛も少なからず持っています。

必要に応じて睡眠薬を投与します

夜勤を行う看護師は的確な観察と判断により、患者の呼吸維持・促進をはかるとともに、患者が睡眠を得られるように働きかける重要なかかわりを担うことになります。

観察項目は、呼吸状態の観察から始まり、呼吸回数、呼吸の種類、胸郭の動き、肺野聴取、チアノーゼの有無、痰の性状と量、パルスオキシメーターのチェック、患者の訴え、表情や活動状況、睡眠状態、指示通りの酸素吸入が行われているか(酸素の値、人工呼吸器の条件、チューブ類は外れていないか等)など多岐にわたります。

患者の状態に合わせた適切な処置
呼吸困難の原因とその程度により適切な処置を行います。気道のクリーニング(効果的な咳嗽、ネブライザー、吸引による排痰)、与薬、酸素吸入、肺理学療法(体位ドレナージ、タッピングなど)、人工呼吸器管理などが挙げられます。

呼吸器運動抑制の原因除去・軽減
寝衣や寝具、術後のチェストバンド、ガーゼ固定などによる胸部への圧迫を除去します。術後の創痛の除去、便秘による横隔膜圧迫の除去(下剤、浣腸など)を図ります。

イブニングケア・環境整備
呼吸苦によって行動が制限されている患者への洗面、口腔ケアを行い、ベッド周囲の寝具を整えます。ナースコールが手の届くところにあるかを確認します。

安楽な体位、姿勢の工夫
起座位やセミファウラー位などは呼吸運動をスムーズにさせる体位です。呼吸器外科・内科の看護師は、患者が睡眠しやすく、かつ安楽な体位を考えていかなければなりません。

適切な睡眠薬投与
睡眠薬によっては呼吸抑制を引き起こすものもあるため慎重な与薬を行い、睡眠時の呼吸状態には十分に注意します。

精神面への介助
呼吸苦や疾患に伴う不安や恐怖の軽減を図ります。患者が安心して入眠できるように適切な対応や声かけを行い、不安を訴える患者の話を傾聴します。必要に応じて睡眠薬を与薬します。