産科病棟では急変(胎児心拍の低下、大量出血、血圧上昇など)に備えた準備が大切
夜勤の基本的な看護ケアは、よりよい睡眠のための身体・精神面へのケア、環境整備を行います。術後の褥婦や、中毒症の妊・産・褥婦には、疼痛ケア、不安や苦痛の除去、環境整備(ベッド棚や床頭台の整理、ナースコールの位置、急返事に対応した物品の準備)を行い、夜間の頻繁な観察が必要となるため、ナースシューズの足音、光には十分に気をつけます。
妊婦は、持続的輸液ポンプを使用しているケースが多いため、正常に作動しているかどうかの観察が必要です。そして、常に胎児がいることを念頭において勤務しなければなりません。
褥婦は、新生児と同室している場合は、授乳行動が適切に行われているか、それにより疲労や、睡眠障害はないか、新生児の全身状態は良好か、などの観察をし、ケアを行います。母児異室の場合には、授乳時に起こし、必要時授乳の介助(ほとんど、新生児スタッフによる)を行います。
患者管理のポイントとしては、様々な状況の患者が1つのフロアにいるため、全体の環境(児の泣き声、スタッフの足音、車椅子の音、ナースコールの音)に対しても十分配慮し、静かな夜、眠りを誘う環境を提供できるように工夫する必要があります。
また、授乳のために夜間部屋にいない患者もいるため、患者数の管理は大切です。マタニティブルーの褥婦や複雑な社会的背景を持つ妊婦などの場合、病院を抜け出そうとしたり、命を絶とうとする可能性もゼロではありませんので、患者管理は大切な夜間の業務となります。
分娩室には常時、産婦・褥婦がいます。夜勤だからといって特別な業務はありません。産婦への産痛緩和や、呼吸法、リラックス法、緊急時の対応など、様々なケアが行われています。
特に、夜間といえども急変(胎児心拍の低下、大量出血、血圧上昇など)は多くあるため、急変に対する物品の準備や、手術室や検査室との連携も必要とされます。夜間は限られた人数でケアを行うため、常にリーダーは、スタッフの配置や、情報の共有、また病棟・新生児スタッフへの応援の要請なども効力しておくことが必要です。
新生児室も分娩室と同様、日勤と業務内容に変化はなく、新生児の観察、体温・呼吸管理、授乳・哺乳の介助・援助・指導や、保育器内の未熟児の観察、体温・呼吸管理、モニターや持続的輸液ポンプの観察などが行なわれます。