複数の合併症を抱えた高齢者が多いためバイタルサインに注意しましょう

夜勤の看護は、日勤の記録や申し送りを通しての情報収集から始まります。情報収集の内容としては、@手術後の患者の経過、A手術後の疼痛や治療上、行動が制限されていることでの苦痛や不安、B不眠などで睡眠薬を与薬したこと、などです。

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したがって、患者の苦痛やニーズに対して個別的に対処し、患者の睡眠が保たれるようにすることがケアの中心となります。

手術患者の場合は、術後合併症の予防など安全面にポイントが置かれます。下肢の手術では、睡眠中の無意識な不良肢位による腓骨神経麻痺と人工関節置換術後の脱臼が最も起こりやすくなっています。また、稀に脂肪塞栓・血栓静脈炎や肺塞栓も発生します。

観察のポイントとしては、橈骨(とうこつ)動脈や足背動脈の触知、皮膚の色調・皮膚温の観察を行い、ギブスや包帯装着による循環障害や神経障害の有無などです。

特にリウマチや高齢の患者は既に複数の合併症を持っていることが多いため、術後は血圧、呼吸状態などのバイタルサインに注意を払い、重篤な合併症(痛みや安静による無気肺、頚椎に問題のある患者では気管内挿管後の気管内浮腫)の予防に努める必要があります。

次に緊急時の対応ですが、高齢者は、疼痛や手術が相当なストレスとなり、夜間せん妄などの行動異常、精神異常を呈することも少なくありません。夜勤では、術後を含めた全身の管理や合併症の出現に少ない看護要員で対応しなければなりません。

術後の合併症が予想されるときには、夜間巡回を定期的に行うだけでなく、術後の患者や重症患者の状況に合わせて観察していくことが大切です。看護師間で情報交換を密に行い、協力して異常を早期に発見できるように努めます。

最後は安楽への取り組みです。安楽は個人差が極めて大きく、障害や手術部位にあわせて疲労を最小限にとどめる体位変換の方法をケアの中に取り入れる必要があります。訪室するたびに、患者の姿勢や体位はどういう状態にあるのかを観察するとともに、必要に応じて体位変換を許される範囲の中で行います。

夜間であってもプライバシーを守り、看護師が睡眠を妨げる要因にならないように心掛け、快適な朝を迎えられるようにします。