脳神経外科病棟の夜勤巡回:患者特性の把握と意識障害レベル別の観察ポイント

脳神経外科が対象とする疾患は、脳血管障害・脳腫瘍・頭部外傷などであり、緊急入院・重症患者はICUに入り、その後病棟へ転入されます。脳神経外科の患者は、@意識が鮮明、A意識障害がある、B高次機能が障害されている、C慢性の意識障害がある…の4つに分けることができます。

重症患者が多いのが診療科の特徴です

監視が必要な重症患者の多くは、ICUに入室しますが、一般病棟でもこれら4つの段階の患者が入院していることを認識しなければなりません。特に、夜間は基本的に睡眠しているはずですが、病態によっては睡眠と意識障害の判断が付きにくいこともあります。この判断のためには、日勤帯の患者の情報を正確に把握しておくことが求められます。

上記の患者の4つの段階における注意点は以下のようになります。

意識が鮮明な患者の場合
検査入院、あるいは脳圧亢進のない場合には、基本的に睡眠を妨げないようにします。病態によっては見当識があるようでも、時間経過とともに意識レベルが低下する場合もあるので、日勤帯の具体的な情報が重要です。

意識障害がある患者の場合
頭部外傷・脳卒中などの急性期で意識状態が低下している、つまり脳圧の亢進状態が認められる場合には、意識障害の分類(JCS:3-3-9度方式)により、その意識レベルをチェックします。これしたがい、呼びかけを行ったり、刺激を与えて覚醒させることが、夜間であっても必要となります。

また、血圧の変動、呼吸状態、瞳孔異常の有無を観察します。点滴ライン、ドレーン留置がある場合には、確実な輸液管理、排液量の観察が必要です。さらに、ライン抜去を避けるため患者の視野からはずし、手の届かないところに配置するなどの配慮も看護師には求められます。

高次機能が障害されている患者の場合
意識障害からの回復期においては、多少の介助で日常生活に適応できるようになってきます。すると、ナースコールを押すことはできるものの、看護師を頼ることなく、患者は自分の力を試したい気持ちになりがちです。人手の少ない夜間や明け方に、自分で排泄を行おうとして、ベッドから転倒・転落することがあるので、注意しなければなりません。

ADL(日常生活動作)が拡大されつつある場合は、患者審理として自己の能力を確認し、自信を持ちたい時期でもあります。この時期には、排尿パターンを把握し、訪室あるいは声かけを行い、患者の医師を尊重できるに配慮し、車椅子あるいは介助歩行で、日中と同様に排泄行為ができるようケアあるする必要があります。

痴呆状態にある患者は、昼夜が逆転し、夜間活動が活発になる傾向にあります。不穏・徘徊は無理に静止せず、まず患者の訴えを聞きましょう。その場限りの受け答えでなく対応し、危険のないように見守ることが大切です。また、無理に寝かしつけることはせず、患者の行動を観察して睡眠パターンを把握します。

慢性の意識障害がある患者の場合
遷延性の意識障害に移行した患者の場合は、気管切開がなされ、胃チューブ・膀胱カテーテルが留置されていて、全介助が必要です。自力で喀痰喀出が困難、あるいは気管切開されている患者については、痰の性状・量を考慮し、吸引を実施します。

吸引の刺激により頻呼吸や無呼吸、嘔吐を誘発することがあるので、吸引後は呼吸状態の安定を見届ける必要があります。肺炎・褥瘡予防のための体位変換は、原則的に2名で実施し、良肢位の確保、ライン類が混乱しないように整理します。